2013年10月26日土曜日

◆WHOは言っている テクニカルレポート846 その1


コスモス 市内で

WHO(世界保健機関)は1969年に総会で水道水フッ素化の決議を行い、1975年に水道水フッ素化推進を再勧告、1978年に再再度水道水フッ素化を各国政府に勧告しています。

そして、1994年テクニカルレポート846「フッ化物と口腔保健」を発表しています。
この日本語訳「フッ化物と口腔保健-WHOのフッ化物応用と口腔保健に関する新しい見解-」 (日本語監修:高江州 義矩 訳:眞木吉信他 一世出版) を読んでみました。

気になる点がいくつかあったので報告します。皆さまのご参考になれば、と思います。

◆ 第7章 飲料水中のフッ化物
 7.7(水道水フッ化物添加の)導入の必要条件 
  この項の筆頭に
 ・ 地域におけるう蝕(むし歯)のレベルが高いか中程度かまたはう蝕の増加傾向が明らかであること。

とあります。現在の日本(吉川市)はこれに該当するのでしょうか?
 平成23年度、吉川市の中学1年生のむし歯有病者率(治療済みも含む)は29.9%、一人平均むし歯本数(治療済みも含む)は0.56本です。

もしも必要条件を満たしていない場合は、実施にふさわしくないということになります。 (つまり、歯フッ素症のリスクを侵してまで実施しても効果はあまり期待できない、ということになるのでは?)


第14章 推奨 
第14章は最終章です。ここは15項目の箇条書きになっています。その7番目に
7.地域の水道水フッ化物添加は安全で費用便益性が高く、社会的に合意が得られ実行可能なところでは導入されそして継続されるべきである。
飲料水中の至適フッ化物液度(濃度)は一般的に0.5~1.0mg/l (ppm)の範囲内であろう。
 とあります。
※至適フッ化物濃度とは、「歯のフッ素症の発現を受容できる最低限度に抑え、かつ最大のう蝕(むし歯)減少が可能な濃度のこと」だそうです。

※第14章に先立って、第7章の7.4に、 これまで1.0ppmが適正なフッ化物濃度とされてきたが、これらの基準が世界のすべての地域で適正だとは言えなくなってきた。いくつかのアジア地域では、ガイドラインに準じた基準でも、歯のフッ素症の発現が過度に高いところがある。0.5ppmが適切な下限濃度であろうと思われる。(以上要約)という内容があります。

私たちは、フッ化物濃度の数値にかかわらず、水道水フッ化物添加そのものに反対ですが、

WHOが 0.5~1.0mg/l (ppm)の範囲内と発表しているのを知って意外に思いました。
健康増進課や推進派の学者(小林清吾元教授など)が「1ppm程度の濃度が理想的」とたびたび言っているので、WHOもそう言っているのだろうと思いこんでいました。
ところが、WHOは以前はそう言っていましたが、このテクニカルレポートでは、歯フッ素症の発症を危惧して 0.5~1.0mg/l (ppm)の範囲内と言い直しているのです。

そうなると、健康増進課の言う「吉川市で実施する場合は濃度0.8ppm」という数値の整合性が問題になってきます。
この0.8ppmの根拠は「水道法の水質基準だから」とのことですが、この水質基準は水道水中のフッ化物を除去するための基準値です。これを超えてはならないという値であり、少なければ少ないほどよいという発想が基本にあります。濃度0.5~1.0mg/l (ppm)の範囲内で0.5でも0.6でも0.7でもなく、「濃度が0.8ppmになるよう添加する」 ということの根拠としては、かなり荒っぽいものだと思います。

日本の歯フッ素症のことが知りたくて、「地域性 歯牙フッ素症」(近藤 武著 (財)口腔保健協会発行)を読んでみました。
兵庫県宝塚市や、青森県北津軽、長野県麻績村等、天然の状態で地下水などのフッ素濃度が高い地域の調査をふまえて、歯フッ素症について論じた本です。
それによれば、日本において、歯フッ素症が発生する飲料水中フッ素濃度の境界域は0.4~0.5ppmとなっていました。

気になった点はまだあるのですが、今回は以上2点を報告します。






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